薬剤師の仕事は「薬を渡す」だけではありません。患者さんや顧客との会話を通じて安心感を与え、健康行動を支えることが今後より大切になります。今回は、薬剤師が日々の接客で意識したいコミュニケーションのポイントをまとめます。
まず「安心感」をつくる
- 笑顔とアイコンタクト:第一印象で「話しやすい人」と感じてもらうことが重要。
- 声のトーン:落ち着いた声で話すことで、患者さんの不安を和らげる。
- 名前を呼ぶ:可能なら「〇〇さん」と名前を添えるだけで親近感が増す。
お客様とのコミュニケーションで重要なのは「この人となら落ち着いて話せる」と相手に感じさせる雰囲気作りです。この時「この人は少し怖いな」と避けられてしまうと客足が徐々に遠のく原因にもなりかねないため注意が必要です。
相手の言葉を「受け止める」
- 傾聴姿勢:途中で遮らず、最後まで聞く。
- 共感の一言:「それはご心配ですよね」「不便に感じますよね」と受け止め、相手の立場になるべく寄り添う。
- 質問はオープンに:「どんな症状が気になりますか?」と広く聞くことで、相手が話しやすくなる。
つい相手の話を遮って正解を言いたくなる場合もありますが、そこでこらえていったん話を聞いてからアドバイスする方が聞いてもらいやすくなります。
専門用語は「かみくだく」
- 難しい言葉を避ける:「抗菌薬」より「ばい菌を抑えるお薬」と説明(法令との兼ね合いもあるため、あくまで出来る範囲にとどめる)。
- 例え話を活用:「体の中で小さな盾を作るような働きです」とイメージを伝える。
- 確認質問:「ご説明した内容でご理解いただけましたか?」と相手の理解度を確認。
薬を扱う分野である以上どうしても難しい話も出てきますが、可能な範囲でかみ砕き相手に伝わる表現を心掛けることで、正確な薬の使用に繋がり、お客様からの信頼にも繋がります。特に相手が理解できたか確認しておく事は大切です。
行動につなげる工夫
- 具体的な提案:「食後30分以内に飲むと効果的です」など、生活に落とし込む。
- チェックリスト化:服薬方法を紙に書いて渡すと安心感が増す。
- 小さな成功体験を促す:「昨日より少し楽になったら続けてみましょう」と励ます。
信頼関係を育てる
- 一貫性:毎回同じ態度で接することで「この人に任せて大丈夫」と思ってもらえる。
- プライバシー配慮:周囲に聞かれたくない話題は声を落とす、相談スペースを活用する。
- 継続的なフォロー:「前回のお薬の調子はいかがですか?」と声をかけるだけで信頼が深まる。
意外と見落としがちなのが、お客様のプライバシーへの配慮かもしれません。薬や病気の内容は人に知られたくないという人もいます。出来る限りスペースを使用したり声量を調整したりしてプライバシーに配慮すればベストです。
まとめ
薬剤師のコミュニケーションは、安心感 を与え、共感する → わかりやすい説明をする → 日常で出来る行動提案 → 信頼関係という流れで積み重ねることが大切です。薬の専門知識を伝えるだけでなく、患者さんの気持ちに寄り添うことで「また相談したい」と思ってもらえる存在になれます。また、そのようなコミュニケーション力を身に着ける事はその職場での地位向上や転職においても役立つはずです。

