2025年12月1日、ドラッグストア業界に大きなニュースが走りました。ツルハホールディングスとウエルシアホールディングスが経営統合しました。これにより、売上高2兆円超・店舗数5600店超の国内最大チェーンが誕生する事となります。
統合の背景と狙い
日本のドラッグストア業界はここ数年、競争の激化と市場環境の変化に直面しています。具体的には、少子高齢化による医療・介護需要の増加、セルフメディケーションの浸透、そして食品や日用品まで含めた「生活インフラ」としての役割拡大が挙げられます。こうした流れの中で、ツルハとウエルシアはそれぞれ地域密着型の強みを持ちながらも、単独では限界が見え始めていました。
統合の背景には、次のような点があります。
- 規模の経済を追求する必要性:調達や物流を一本化し、コストを抑えつつ商品力を高める。
- 業界再編の波:マツキヨココカラ&カンパニーなど競合も統合を進め、シェア争いが激化。
- 社会的役割の拡大:地域医療や介護、在宅支援まで担う「生活者の拠点」としての期待。
こうした背景を踏まえ、統合の狙いは明確です。
- 国内最大規模のドラッグストアチェーンを確立し、シェア2割超を確保。調達や物流の効率化を促進する。
- PB(プライベートブランド)の刷新によって価格競争力と生活者への提案力、日用品の分野を強化。
- 顧客データの統合により、調剤・購買履歴を活用したパーソナライズ提案を実現。
- 介護・在宅医療・海外展開を視野に入れ、ドラッグストアを「ライフストア(顧客の人生そのものに寄り添う)」へ進化させる。
つまり、ツルハとウエルシアの統合は単なる「規模拡大」ではなく、ドラッグストアを生活全般を支える拠点へと進化させるための長期戦略として行われたと言えます。
統合の背景と狙いから見える薬剤師の未来
このようにツルハとウエルシアの統合は、単なる規模拡大ではなく、ドラッグストアを「生活者の拠点」へ進化させるための長期戦略です。介護・在宅医療・海外展開といった新領域にも踏み出すことで、ドラッグストアは「ライフストア」へと変貌を遂げようとしています。
この流れは、薬剤師にとっても大きな意味を持ちます。従来の「調剤中心」の役割から、生活者の健康や暮らし全般を支える存在へと期待が広がっているのです。
薬剤師キャリアへの影響
- 調剤+セルフケア支援
顧客データを活用した健康提案が進む中で、薬剤師は「薬を渡す人」から「健康アドバイザー」へと役割が拡張されつつある。 - 在宅・介護領域への進出
地域密着型の相談機能や在宅医療支援が強化されることで、薬剤師が患者の生活に寄り添う機会が増える。 - 海外展開の可能性
ASEANなどアジア圏を中心とした海外進出により、国際的なキャリアや新しい働き方の選択肢が広がる。 - ライフストアでの新しい働き方
食品や日用品を含めた「生活全般」を支える店舗で、薬剤師が地域の健康インフラの一部として活躍がより一層期待される。
メッセージ
この統合は「業界の再編」というニュースにとどまらず、薬剤師一人ひとりのキャリアに直結する変化です。今後は調剤スキルだけでなく、セルフケア支援・介護知識・データ活用力が求められる時代になります。

